森園みるく先生の巻

第1回目はレディースコミック界の女王((^_^;)?)「森園みるく」さんです。

一時期、お仕事をさせていただいた時期があります。
森園先生と言えば、今でこそ「官能的なレディースコミック」で有名ですが、私の初めてみた先生のマンガはラブコメでしたし、アシをしていた時には、えっちはあれどコメディ色も強いものも書いておられました。
今の路線に移っていこうとしていた、ちょうど境の時期だったのでしょう。

あの頃先生は、西武線沿線の某駅周辺に自宅兼お仕事場をかまえ(*1)、めちゃめちゃ級のハイペースで作品を描かれていました。
今はそんなに量産はなさっていない様ですが、当時は月に何本抱えているのだろう?と思うくらい量産状態。
「先生…壊れやしないのかなぁ?」とハラハラしながら思ったほどです。

アシは平均4~5人体勢。皆優秀な人ばかり(*2)なので、効率良く(作業が)回転していましたねぇ。

数年前、最近の森園先生しか知らない人(*3)から、「先生って、ちょっと怖そうじゃない?」という感想を聞いた事があります。
まあ、メディアに顔出しする時なんかは、ダーク系の優雅な服を着こなし、ちょっと退廃的かつ耽美的な(?)な雰囲気を醸し出し、作風とのトータルコーディネートばっちり!みたいな感じですから、そう思ってしまうかも知れませんが、いやいや、そんな事はないんです。

仕事には厳しいけど、すごく気さくで優しく、とてもいい方。
それが証拠に、スケジュール的に仕事はすごくきつかったけど、「ここにはもう行きたくねーっ!」なんて、1回も思いませんでしたもの。
当時は音楽の話(*4)や業界のうわさ話などで仕事場は盛り上がっていました(*5)。
それに対して、先生のノリも非常によかった事を覚えています。
メディアに出る時みたいな格好で作品は描きませんけど、普段着でも目一杯集中しながら作品を描かれている先生は、とてもカッコよかったのです。うん(^_^)。

漫画家に限らず、創造する事が仕事の人は、あまねくこういう勘違いをされる事が多いのですが、作者の人物像を作品だけで想像するのはかなり無謀な事です。
暗い作品ばかり描くけど、本人はすごく明るかったり、その反対な事もままあります。(勿論、同一な方もいらっしゃいますが(笑)。)
恐らく、森園先生はそういう意味で一番勘違いされやすい方かも知れません。
それ的要素はきっとあるけれど、それらが全てではない。
作家という生き物は、実に捉えにくい人種なのかも知れません(*6)。

数年前、自分の仕事の関係で森園家のアシにあまり行かれなくなり、数年経った後の某出版社のパーティで先生をお見かけしたので挨拶しました。
もう既に今の路線で成功なさっていた時だったのですが、ちゃんと覚えて下さったのが嬉しかった。あの時撮ったポラロイド写真(*7)、いまだに大切にしてあります。
これからもガンガン活躍して欲しいなあ…。

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(*1)仕事場周辺にあった、スーパーは当時としてはかなり先進的だったのではなかろうか?大きな建物の中に異業種店舗がいろいろあって、それらの店の品を一括して宅配してくれる店だった。
例えば松屋の牛丼弁当にコピー用紙、コーラのペットボトル、頭痛薬にシャープペンの芯などを、いっぺんに宅配してくれるスーパーなのです。
うちの近所にも欲しーっ(切実)。

(*2)無論、私を除いての話である。俺様って無能(笑)。

(*3)メディア媒体からの印象のみ、と思われる。

(*4)先生はインディーズ系も大好きだったみたいで、そこで聞いた「空手バカボン(有頂天のケラと大槻ケンヂのユニット。ナゴムレコード)」(?)のレコードに入っていた。「ロックってゆーのはなー!ラ・ムーなんだよーっっ!!」という熱い語りの入るレコードがいまだに耳から離れません。あの音盤ってCDになってるの?誰か教えてー!

(*5)漁師が網引っ張る時の、舟歌的なもんなのでしょうかねえ。
修羅場のうわさ話って。もしくはユンケルのかわり...みたいな(^_^;)。

(*6)作家はそれ故、創造する仕事ができると言えなくもないな。いや、まぢな話。

(*7)たいていのパーティ会場には、フジやらコダックから派遣された、ポラロイド写真サービスのおねーちゃんズがいて、記念に会場で写真を撮ってくれるのだ。