電灯線ネット、2006年に解禁へ

電線ネット、2006年に解禁へ――総務省方針

 総務省は家庭の電源コンセントにパソコンや家電のプラグをつなぐだけで高速インターネットに接続できる「電力線通信」を2006年にも解禁する検討に入る。通信用の大掛かりな配線工事が不要なため、ネットを通じてエアコンや冷蔵庫などを遠隔操作するネット家電が利用しやすくなり普及に弾みがつく。当面は屋内の配線にとどまるが、将来は全国の電線網にまで利用を認める公算があり、光ファイバーと並ぶ通信手段として通信業界の競争を促し、料金引き下げなどの効果も見込まれる。

 学識経験者や家電メーカー、電力会社などで構成する研究会を年明けに発足、解禁に向けた具体的な検討を始める。早ければ来年末までに最終報告をまとめ、電波法に基づき電力線通信を禁止している総務省令による規制の緩和を電波監理審議会(総務相の諮問機関)に諮問、実現をめざす。

 電力線通信は家庭などに電気を運ぶ電力線に通信データも一緒に乗せて送る方式。利用者はこれに対応するパソコンなどのプラグをコンセントに差し込めば、電力と一緒に通信データも取り込める。住居内に張り巡らせた配電線でデータをやり取りでき、家庭にある複数のパソコンや情報機器をつなぐネットワークとして使える。

[12月21日/日本経済新聞 朝刊]発

と、電灯線(電線)ネット(PLC)の実現が、また一歩前進したようです。

分からない人に説明すると、今、大多数はネットに繋ぐために、電話線モジュラーとモデムとをケーブルで繋いで、そこから更にLANケーブルや無線でPCへ接続し、インターネットを利用しているわけです。
コレだと電話線がなければネット利用ができないわけですが(今では、電話線が引かれていない家を探す方が難しいですが)、これを「電気コンセント」でやってしまおうと言う魂胆です。

一見便利そうに見えますが、実はコレにも弊害はあります。

コレに伴い、短波帯の受信障害などが懸念されているのです。

注釈)

「短波」というのは、電波の種類区別の一つの呼び方で、電波の波長の長さで名称がそれぞれ異なります。
例えば、カーラジオやポケットラジオ等で聴ける、ニッポン放送やTBSラジオなどは「中波(MF)」という周波数帯を使用していますし、テレビ放送でテレビ東京まで(12ch)のテレビ局は「超短波(VHF)」、13ch以降の放送や携帯電話は「極超短波(UHF)」という周波数帯を使用しています。
ちなみに、テレビの中継局電波や車載レーダー等は「準ミリ波(SHF)」、衛星の電波は「ミリ波(EHF)」と呼ばれている周波数帯を使用しています。(中波より長い周波数帯もあります)

ココで障害が生じるとされている「短波帯(HF)」は、中波帯と超短波帯の間に位置し、主に国際放送や船舶通信、アマチュア無線等に使われ、もちろん普通のラジオ放送等にも使われていて(日本ではNikkeiラジオ(旧名称・ラジオたんぱ)が放送に利用しています)、国土がムダに大きい国等の国内ラジオ放送等に使われている事もあります(小電力で遠くまで届く性質があるので)。

で、コレの何がマズイかと言えば、実現化されると、日本全国に張り巡らされた電線から、短波帯でのノイズに繋がる電波がガンガン垂れ流しにされるわけで、結果、短波帯に受信障害等を引き起こすそうなのです。
外国の様に電線が地下に潜っていればいいのでしょうけど、御承知の通り、日本は空高くむき出しの状態なので、如何ともしがたい状況。

が、その短波帯の利用者数とネット利用者数をくらべれば、天と地ほどの差があります。
もちろんネット利用者の方がダントツに多いです。
だから、いくらアマチュア無線家や一部のラジオリスナーが反対をしても、結局は多数の論理で押し切られてしまうでしょう。

現代では、インターネットで手軽に外国のコンテンツを楽しむ事ができますが、インターネット以前で外国の生の情報に触れる機会と言えば、聞き辛いながらもノイズまじりの短波放送を聞いて楽しんだり情報収集したり…と、そんな時代もありました。

私も短波帯を受信できるラジオを持っています。
今も時々あてもなく周波数帯をうろうろして、外国の放送などを楽しんだりしています。
昔(小学生から中学生くらいまで)は今の様に、ネットでリッチコンテンツを楽しむ等と言う状況からは程遠い状況ではありましたが、ノイズの向こうに見つけた外国の匂いを感じた時、妙にドキドキした事を覚えています。

昔のノスタルジーを持ってきて、感傷に浸るつもりはありませんが、このニュースを聞いた時、少数でもユーザーがいる事を無視して、実用化に走ってもいいのか?と思ったのです。

多数も尊重されるが少数も認められる。
多数は少数を卑下しないし、少数は多数に不満を漏らさない。

そんな世の中がいいなと思うのですが、どうなんでしょ。
わたしだけかい?(゚Д゚;)

現実問題、技術的にも電線の地中化、でなければケーブル素材の見直しや交換でなんとかなると思うんですけどね。
漏れ電波を出さないコーティングをしたケーブルや、現存のケーブルに塗布する形での電波遮蔽とかはできないんでしょうか。

電線ネット、2006年に解禁へ――総務省方針